ポートフォリオ@逆凪
自己紹介
VR-TRPGクリエイターの逆凪です。
clusterでVR-TRPGを中心にマルチプレイストーリーゲームを作っています。
Valorant・マーダーミステリー・建築旅行・和紅茶・戦争映画が趣味です。
専らサークルのVR-TRPG制作に時間を費やしており、友人とVRゲームについて議論を交わすのも楽しんでいます。
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経歴
VR-TRPGサークル「ぐだぐだぶとん」代表:2020年4月〜現在
Mydearest株式会社ゲームデザイナーインターン:2022年9月〜2023年7月
ClusterGAMEJAM2022inSPRING アスレチック部門大賞
ClusterGAMEJAM2022inAUTUMN Live2D賞
スキル
モデリング
Blender・Terrain(Unity)・Vroid Studioを使用し、イベント用ワールドの会場、ゲームワールドの背景、ゲーム用プロップ、NPCのVroidモデル作成ができます。
モーション
BlenderのAuto-Rig Proを使用し、リギングからモーション作成、Unityでの実装まで出来ます。
ギミック
たまに初心者が躓きそうなミスやバグを記事にしています。
現状使用経験が無いのはScriptableItem・WheelCollider関連のギミック・Accesory関連のコンポーネントです。
テクスチャ
汚しが必要なテクスチャはSubstancePainterを使用して制作しています。
VroidテクスチャはAffinityPhoto/AffinityDesigner/ibisPaintを使用し、肌・髪・服を作ることができます。
ライティング
「Bakery-GPU Lightmapper」を使用しています。
複数のステージを異なるライティングでベイクし、徐々に探索可能エリアを広げたり、朝昼夜のパターンを作ったりすることができます。
シナリオ
非ゲームワールドの世界観作成から、ゲームワールドやVR謎解きアトラクションの短編シナリオ(1時間未満)、VR-TRPGの中編シナリオ(2~4時間)まで幅広く作っています。
シナリオ・ワールド制作の両方の技術がある為、シナリオ通りにワールドを作る一方通行ではなく、探索が楽しくなるようにシナリオ・ワールドを設計したり、モーションの作りやすさや表現の幅を広げる為にシナリオを変えたり、ギミックが実装できる事を確認してからシナリオを作ったりと双方向的な制作を行う事ができます。
モットー
「PL全員の為の体験」をモットーに、以下3点を重視して制作しています。
・ワールドクリエイターの自己満足にならないようにし、PLが主体的に動ける「遊び」にする。
・PLの誰かが置いていかれることない。且つコミュニケーションによって体験が楽しくなるように設計する。
・対応機種(スマホ・PC・VR)のどれかで操作が困難になることがない。且つわざわざVRを被るメリットとしてVRで遊ぶと更に楽しくなるように設計する。
基礎理論の開拓
成功が必然であるように、コンテンツ良いものだと関係者全員の合意が取れるように、VRコンテンツ制作での基礎理論の開拓と言語化をよく行っています。
制作物
協力型アスレチック「タッグクライマー」
協力型アスレチックゲームワールドです。
ClusterGAMEJAM2022inSPRINGでアスレチック部門大賞を受賞しました。
プレイ時間:30分
プレイ人数:無制限
制作期間:2日(2022年3月)
担当領域:モデリング・ギミック・ディレクション
チームメンバー:とくロ(ライティング)
「アスレチック部門大賞」はチーム「ぐだぐだぶとん」さんの「タッグクライマー」です!おめでとうございます!🎉#ClusterGAMEJAMhttps://t.co/idiDdALV38 pic.twitter.com/izR5JshKuF
— cluster公式∞ (@cluster_jp) March 26, 2022
コンセプト
ゲームが下手な人にも徹底的に優しく
以前VRゲーム展示会のアテンドを行った時に、移動とジャンプがどうしても同時にできない方がいらっしゃいました。一方でclusterのコアユーザーはどれだけ狭い足場でも容易く捉える高度なアスレチック技術を持っています。
スマホ対応により敷居が広くなったclusterで、どちらかを異常とするのではなく、どちらのユーザーにも楽しんで貰うアスレチックにしようと思い、「パワーアーム」を作りました。
この「パワーアーム」はアスレチックに失敗して落ちてしまったPLを、先にアスレチックをクリアしたPLが引き上げる事ができるアイテムです。
これにより、失敗のストレスは軽減され、協力を要請するコミュニケーションで一緒に楽しく先に進めるマルチプレイゲーム体験を実現しました。
右がアスレチックを先にクリアしたプレイヤー
ズルを許容する「発見の共有」
楽しいコミュニケーションとPL自身の体験を目指して、アスレチックゲームにも関わらず岩壁を登れるズルを許容しました。
アスレチックの途中で偶然気づいたPLが壁登りのズルを他のPLに教えることで、自分で発見した楽しさと、それを共有するコミュニケーションの楽しさが成立します。
VR-TRPG「地下壕の讃美歌」
観光に来ていた貴方は、突然の地下壕の崩落に巻き込まれ閉じ込められてしまう。
狂気の実験。変わり果てた失踪者。異形の怪物。
この地下壕に隠された過去とは、秘密とは——
登場人物を演じ舞台を想像しながら会話で物語を進めるTRPGに対して、VR空間で再現された舞台を共有し、会話やアバターの動き、様々なギミックを使ってより高い没入感で遊べるVR-TRPGの開拓をこれまで行ってきました。
本作は主人公の視点でワールドを歩き回り、探索・戦闘・演出を楽しめるタイプのVR-TRPGになります。VR-TRPGサークル「ぐだぐだぶとん」の第六作として制作しました。
プレイ時間:4時間
プレイ人数:3人(進行役含む)
制作期間:8カ月(2022年1月下旬から8月中旬)
担当領域:モデリング・ギミック・モーション・シナリオ・ディレクション
チームメンバー:br(製本・広報)・Flor(サウンド・ギミック)・朝月葵(シナリオのミクロ面)・Aderi(モデリング)
コンセプト
本作はVR-TRPG専用で書き下ろしたシナリオであり、
VR×物語として最高の主人公体験にする為に、シナリオ・ワールドの両スキルを密接に連携させて設計しました。
TRPGの「自由度」をVR-TRPGで「発見」に変換する
従来のTRPGは進行役との会話で進めるため、選択肢に縛られずに自由に行動することができました。
一方でVR-TRPGは、予めギミックを仕組んでおかなければワールドを動かせない為、TRPGの自由度かVR空間のリアリティを犠牲にする必要がありました。
PLから自由度を奪い、ただゲームシナリオに従わせるのでは「最高の主人公体験」とは言えません。
その問題を解決する為、VR-TRPGでは隠しアイテム・隠しギミックを採用して、その「発見」を主人公体験へと繋げました。
論理的誘導を施して「発見」につなげる
隠しアイテムや隠しギミックは、その存在を提示せずに配置するだけだとPLが考えもしなかった場合に徒労に終わります。その為、本作ではメインストーリーに絡んだ「課題」を提示して論理的に「発見」まで誘導しました。
また、以下の例では本来同じコマンドを入力するだけになりがちなTRPGの戦闘に対して、前線に出ると隠された装置に気づける、変化に富んだ戦闘にすることができました。
進行役「遂にラスボスが現れました。最後の戦闘が始まります!」
PL1「とりあえず前線に出て攻撃!」
進行役「確かに貴方の攻撃は敵を捉えていたはずでした…しかし、手応えは全くなく、攻撃がすり抜けたようにすら感じます(課題)」
PL2「他の攻撃手段があるのかも…?」
PL1「ラスボスの後ろに変な装置がある!!!!(発見)」
TRPG的発想による発見
VR-TRPGを謳う以上、TRPGにあった自由度も捨てきれず、ユーザーもそれを期待していることが事前の調査で分かっていました。
そこで、本作がTRPGだった時にPLがやりそうな「TRPG的発想」によって隠しギミックを発見できるように設計しました。
進行役「エレベーターの生体認証を突破すればクライマックスに移行します。その前に『まだ探索していない部屋はないか』『この生体認証を突破するにはどうすればよいか』考えてみましょう」
PL1「サーバールームだけ調べてない!だけどサーバールームの扉を開けるカードキーは見つからなかったんだよな…(課題)」
PL2「他の侵入手段があるのかも?」
PL1「持ってる拳銃でガラス窓は壊せないかな?(TRPG的発想)」
//ガラス窓に向かって銃を撃つ
PL1.2「割れた!?!?!?!?!?(解決)」
自分の「発見」で物語が大きく動く
隠しアイテムを集めきると真エンドが解放されたり、世界観の補足情報が回収できたりする例はよく見るのではないでしょうか。
これは発見の恩恵を受けるのは主人公ではなくPLであり、没入的体験とは離れてしまいます。また、隠し要素がメインストーリーに作用しておらず、あくまでおまけとしての立ち位置になっています。
そこで、本作ではPLが隠しアイテム・隠しギミックに気づく事で物語(メインストーリー)が大きく動くように設計しました。
隠し要素を見つけたPLは発見を他のPLに共有し自慢することで、隠し要素を教えて貰ったPLは変化する物語を共に楽しむことで、「全員が楽しくなるコミュニケーション」が実現されます。
そして、ゲーム終了後に「自分の発見が無ければ違う物語になっていた」と思わせることで「ゲーム体験をPLのものに」しています。
PL1「さて、この部屋は調べきったかな」
PL2「Aちゃん(NPC)の白骨死体が見つかるなんて…」
進行役「ここで、貴方達は誰かの気配を感じます。この部屋に、もう何も無いはずなのに誰かがいると直感するでしょう。(課題)」
PL1「隠し要素があるのかな?探してみよう」
PL2「ここ、壁に穴が空いてる。奥に空間があるよ!(発見・共有)」
//壁を剥がす。すると人間の脳が培養液に満たされた缶が見つかる(解決)
進行役「貴方が缶に触れるとそこから声が聞こえてきますね。『お姉ちゃん…?』」
PL1「ふむ、とりあえず話を聞いてみようか。『君、名前は?』」
進行役「『私?私はA。貴方は、新しい患者さん?』」
PL2「Aちゃん!?!?なんで!?!?!?(物語が大きく動く)」
実在のモデルを体験に合わせて調整する
本作は長野県の史跡である松代象山地下壕をモデルにしており、物語序盤では地下壕内を観光するパートがあります。
描画負荷、観光パートの想定体験時間、足の滑りが気にならないプレイヤーの歩行速度、各デバイスや配信画面で見た時の明るさを考慮して、実際の松代象山地下壕を完全にコピーするのではなく、本来より短く、明るくする調整を施しました。
写真映えだけでなく画面映えも
文化として根付いている記念撮影の為に、最終ステージは写真映えを意識した構成にしました。
ゲームである以上、実際に遊んでいて楽しい画面映えも大事です。
普通のVRゲームはプレイヤーの目の座標を取得できる為、目に対する3D演出が可能ですが、clusterではプレイヤーの目の座標が取れず、アバターごとに身長の高さも異なります。
そのため、体を包む・体に干渉する3D演出にすることを意識しました。
▼プレイ動画
▼ワールド動画
VR謎解きアトラクション「Break the JINX 絶望の廃倉庫」
貴方はこの街に根付くギャング組織「BravePigeons」のメンバーだ。
長年の抗争の末、敵組織「UglyPhoenixes」の幹部である”不死身のジンクス”を、とある廃倉庫へと追い詰めた。
ついにジンクスを仕留めたと思った、その瞬間ー
気が付くと貴方の両腕は動かない。どうやら縄で縛られているようだ。
目の前には悠々と眠っているジンクスの姿。
このままでは「UglyPhoenixes」の増援に殺されてしまう。
この危機的状況から、貴方は脱出できるだろうか?
主人公をPLが演じ、NPCをアクターが演じることでゲームの中に入ったような体験ができる、VR体験型脱出です。
「VR謎解きアトラクションDETECT」の第一作として制作しました。
計76公演を行い、2022年9月に公演を終了しました。
第一弾「Break the JINX ~絶望の廃倉庫~」昨日で全公演が終了しました。
— VR謎解きアトラクション『DETECT』 (@detect_vr) September 14, 2022
計76公演、延べ198名の方に遊んで頂きました。本当にありがとうございます!
(※申込時点の人数、βテストおよびキャンセル分を含む) #VR謎解きDETECT #謎解きイベント pic.twitter.com/dILE9iokjn
プレイ時間:40分
プレイ人数:2〜4人(進行役含まず)
制作期間:4ヵ月(2022年4月下旬から7月)
担当領域:モデリング・ギミック・シナリオ
チームメンバー:めどう(監督)・朝月葵(シナリオミクロ)・おとなすてぃー(サウンド・謎制作)・ハス(ロビー制作・ギミック)
コンセプト
メタバースの特徴から逆算する構成
clusterのようなメタバースプラットフォームでは、ゲームプレイ後に写真を撮影してSNSに投稿する文化があります。
本作は脱出ゲームでもあった為、エンディングの記念撮影に以下の要件を設定しました。
1.プレイヤーのアバターがハッキリ映る
2.脱出に成功した事が分かりやすい背景にする
3.思わずSNSに投稿したくなる写真にする
これらの要件から「廃倉庫を大爆発させて立ち去る」エンディングを採用し、そこからシナリオ・ワールドを設計・制作していきました。
メタバースの弱点から逆算する構成
ワールド制作者の意図しない遊び方をPLがする可能性があるのが、マルチプレイで自由度の高いメタバースプラットフォームの弱点とも言えます。
本作は体験型コンテンツとしての事前説明がある為、そういった問題をある程度抑制できるのですが、変な遊び方をした結果つまらなくなってしまうような事故の対策を徹底した構成にしました。
まず課題として想定したのは、PLが脱出の為に「敵NPCに暴力を振るう」案を考えて実行した際、演者が困ったり反応できなかったりすると世界のリアリティが損なわれてしまいます。
敵NPCが密室の外にいて映像で登場する対策はどうかというと、演者の演技が活かせなくなってしまいます。
そこで、「敵NPCを不死身の設定にする」対策を取りました。
想定される問題を列挙してそれらを解決し、論理的にチームに共有する事ができました。
また、公演の途中から「プレイヤーの中に1人リーダーを設ける」施策を部分的に導入しました。
課題は「マルチプレイゲームにおいて情報が全員に共有されていないと、取り残されたプレイヤーが楽しめないこと」です。
対策として「何かを見つけたら全員に共有するようにと事前説明」を行っていましたが、それでも不足するケースがありました。
そのため第二の対策として「プレイヤーの中に1人リーダーを設ける」施策を導入しました。
没入型体験を損なわず、誰に情報を渡す/聞くべきか分かりやすくした良い施策だったと評価しています。
▼PV
▼プレイ配信
VRADV「おもちゃの大冒険」
これはそんな夜に訪れた、ひと時の夢―――
計10名のチーム「GoingMyWay」を結成して制作しました。
ClusterGAMEJAM2022inAUTUMNでLive2D賞を受賞しました。
プレイ時間:20分
プレイ人数:無制限
制作期間:2日(2022年10月)+2週間アップデート
担当領域:シナリオ・ギミック・モーション・モデリング・ディレクション
チームメンバー:朝月葵(ミクロ面のシナリオ)・むと(エンディング演出)・Flor(タイトルロゴ)・Aderi(モデリング)・フィル(ボイス・デザイン)・弥勒(ボイス)・とくロ(ライティング・アスレチックパート制作)
「Live2D賞」はチーム「GoingMyWay」さんの「おもちゃの大冒険」です!おめでとうございます!🎉#ClusterGAMEJAMhttps://t.co/d8pbPeiNBn pic.twitter.com/iPDT0WmvOl
— cluster公式∞ (@cluster_jp) November 12, 2022
コンセプト
意図と裁量の共有
インターン先で行っていたゲーム制作のタスク管理方法をclusterGAMEJAMに合うようにアレンジし、Googleスプレッドシートで計10名のタスク管理を行いました。
その中で全員が不安なく作業できるように、作中の意図と作業者の裁量を伝えることを重視しました
特に本作はVtuberの方とアバタークリエイターの方から頂いたアバターをNPCにする作品だった為、原作のイメージを壊さず魅力を伝えられるように意図の相互伝達と裁量の分配を徹底しました。
身体性を重視した設計
初心者でも楽しめるVRADVは一筋縄ではいきません。
操作を簡単にしようとしてInteractだけで進行する設計にすると、「ただ物語を見せられているだけ」のVRノベルに近くなります。Interactは基本的にクリエイターが仕組んだ効果しか発揮しないからです。それは「遊び」とは言い難いでしょう。
逆にPLの行動に自由度を与えて「遊び」にするのはgrabbableItem・RidableItem・ジャンプ移動です。
RidableItemは操作説明が複雑になるため今回は不採用。
ジャンプ移動は初心者が進行できなくなる可能性を考慮してメインストーリーの進行には不要になるよう設計しました。
grabbableItemに関しては身体性を重視し、猫のNPCと握手する・窓を掴んで開ける・飛んでいくシャボン玉をキャッチするなどのVRでより楽しくなる体験を実現しました。
また、grabbableItemを扱うにあたって「対象-行為-結果-効果」の論理と予測を重視しています。
「対象-行為-結果-効果」が論理的に繋がっていないと、進行や納得感に支障をきたします。
当たり前の話のように聞こえますが、サイエンスフィクションやハイファンタジー作品で横行しているので注意が必要です。
「謎の結晶を破壊したら◯◯粒子の◯◯反応で世界が変化した」みたいな事例ですね。その世界の法則として成立していても、PLにその論理を理解してもらう必要があります。
また、「対象-行為-結果-効果」の全てをPLに教えてしまうと予測が不要になり、長い指示にただ従うだけの驚きが無いゲームになってしまいます。
カスタムエンディング
更に、上級者も楽しめるようにする為に、通常のストーリーパートの他にアスレチックパートを実装し、アスレチックで見つけたおもちゃがエンディングムービーに登場するカスタムエンディングを採用しました。
新しく演出を作ることになる隠しエンディングよりも、コストが低く且つその回特有の体験を作り出せると判断しましたが、「見つけたおもちゃが登場する」カスタム要素をエンディングムービーだけでなく記念撮影にも活かせると良かっただろうという反省点がありました。
VR-TRPG「虚空に夢を見る」
鉄格子の向こうから、醜悪な声が貴方に問いかける。
血を、道具を、知性を。持てる力の全てを駆使して異端の島から脱出せよ。
―――狂気に満ちたこの世界で、祈りは、果たして届くのか。
主人公の視点でワールドを歩き回り、探索・戦闘・演出を楽しめるタイプのVR-TRPGになります。
VR-TRPGサークル「ぐだぐだぶとん」の第七作として制作しました。
プレイ時間:3時間
プレイ人数:3人(進行役含む)
制作期間:5ヵ月(2023年1月下旬~2023年6月中旬)+1ヶ月アップデート
担当領域:シナリオ・モデリング・ギミック・モーション・ディレクション
チームメンバー:br(製本・広報)・朝月葵(シナリオのミクロ面)・Flor(サウンド・タイトルロゴ)・Aderi(モデリング)
コンセプト
TRPGの「自由度」をVR-TRPGで「機転」に変換する
前作の「地下壕の讃美歌」ではTRPGの自由度を発見に変換していましたが、それだけではVR-TRPGの開拓は終わっていないと感じていました。同時に、TRPGが抱えていた戦闘の退屈さも、前線に出て隠し要素を見つける事以外の解決法を求めていました。
そこで、TRPGの自由度を「探索で見つけたアイテムのどれを選び、戦闘でどう使うか」という「機転」の楽しみに変換することにしました。
以下の探索パートと戦闘パートを交互に繰り返す。
[探索パート]
指定されたエリアを探索し、配置されたアイテムを見つける。
元から持っていた物・新たに見つけた物の中から、次の戦闘パートに持っていくアイテムを2つ選ぶ。
選択が終わったら探索パートを終了し、次の戦闘パートに移行する。
[戦闘パート]
選んだ2つのアイテムと自分のスキルを使って、与えられた状況をどう打破するか宣言する。
その作戦を進行役が評価し、ダイスボーナスを与える。
その作戦が成功したかダイスロールで判定を行い、出目によってこの戦闘パートで受けるダメージが決定する。
一連の処理が終わったら戦闘パートを終了し、次の探索パートに移行する。
使用したアイテムは消耗品で無ければ次の探索パートに持ち越せる。
(例:ツリーハウスの探索・谷道の戦闘)
[探索パート]
元から持っていたポリタンクと新たに見つけた瓶を使って火炎瓶を作成。
火炎瓶と目覚まし時計を持って戦闘パートへ
[戦闘パート]
谷道の奥には怪物が待ち構えている。まだ気づかれてはいないようだ。
目覚まし時計を鳴らして、遠くに放り投げる。
怪物が目覚まし時計に釣られている内に忍び歩きで次のステージへ
<隠匿>スキルでダイスロールを振り、この作戦が成功したか判定する。
フルモーションのNPCで簡単な進行を
VR-TRPGは進行役のゲームマスターと主人公役のプレイヤーに分かれて行う遊びですが、進行役がNPCの演技とゲームの進行を両方行う必要があり、難易度が高い課題がありました。
この課題を解決する為に、進行役が専用アイテムを操作することで事前に組まれたNPCモーションが発火する仕組みを作りました。
NPCのフルモーション化は、進行役がアバターを着て行う演技より自由度を下げる懸念点もありましたが、雷撃で吹き飛ぶ・敵陣に切り込む等のアバター演技で出来ない表現を用いることで、フルモーションのNPCによる体験の魅力を引き出しました。
丁寧な進行接続とLocalでの軽量化
本作はマップを細かく分割せずに連結させる必要があった為、LocalでのActive管理による軽量化を実施しました。
行為主体感の管理
VRADVは設計が下手だと、自由な探索パートと不自由な会話パートの行き来と、PLが自身に設定する行為主体感が合わなくなり、「やらされてる感の強いVRADV」が生まれがちです。
これを例えるなら「Youtubeを眺めていたら広告スキップボタンを押すことになった不快感」が分かりやすいでしょう。
本作では不自由な会話パート(カットシーン)は演出を多分に使って飽きないようにしながら、同時に地の文で「これから主体的に動ける探索パートが始まるよ」と方針を示すように設計しました。
「行こう。この先の小屋に脱出手段を隠してある。」▼
濃霧に遮られた視界の向こうで、戦いの気配がする。▼
這い寄る恐怖でふらついた足が、コツンと何かを蹴った。▼
足元には様々な漂流物が転がっている。
何か使える物は…縋る物を求めて貴方の思考が回り始めた。▼
▼プレイ動画
▼ワールド動画
ぐだぐだダイレクト2023
VR-TRPGサークル「ぐだぐだぶとん」主催の、VR-TRPGに関する最新情報を届けるclusterイベントです。
これまでに制作した作品やイベント用に募集したポスターを並べる展示エリアと、会場エリアを実装しました。
概要:バーチャル発表会
制作期間:1ヵ月
担当領域:会場モデリング・ギミック・シナリオ・モーション
チームメンバー:Flor(サウンド)・Aderi(キャラモデリング)
コンセプト
孤独の解消と所有感
HMDが目を覆うことで現世の情報が一切入ってこない為、VRで世界に没入するとプレイヤーは逆に孤独を感じやすくなります。「孤独」はVRコンテンツを作る上で考慮しなくてはならない要素です。
そこで、フレンドと一緒にイベントに参加しないユーザーでも孤独を感じないように、一緒にイベントに参加してくれるペンギンのNPCを実装しました。
このペンギンの特徴は、掴んで抱き上げたり、一緒に座って膝の上に乗せたりする事ができる点にあります。PLがNPCに干渉できるようにし、かつ「所有感」を持たせる事で、よりPLにとって身近なNPCとなり、PLの孤独を解消できました。
体験を方向づける
更に、ワールドギミックによって、ペンギン達に拍手させたり、歓声を上げさせたりする事ができます。ペンギンが跳ねたら自分もジャンプしたくなる、ペンギンが拍手したら自分も拍手したくなるというように、イベントの体験を方向づけてPLに楽しみながら動いて貰えるようにしました。
開放感
ポスターを設置するボードが展示エリアの開放感を損なわないようにする為、奥の景色が見える波線状のボードをモデリングしました。
企画書:ゆうしゃの大冒険
VRSNSのソーシャル性を重視し、1月頃に書いたVRゲームの企画書を応用したclusterゲームワールド案です。
「孤独の解消」と「体験を方向性づける」のVRSNSにおけるNPC論を適用して仕上げました。