VRTRPG の作り方
このページは、メタバースプラットフォーム”cluster”でVRTRPGや3Dマダミスを作りたい人向けのページです。
我々ぐだぐだぶとんがこれまでのVRTRPG制作で学んできたノウハウなどを共有していきます。
皆さんで便利な情報共有をしたり、新たなプロジェクトを立ち上げて一緒に制作していくコミュニティです。
詳しくは、こちらのページをご覧ください!
スマホ・PC・VR機器で遊べるメタバースプラットフォーム”cluster”
VRTRPGは一般にバーチャルSNS(メタバースプラットフォーム)と呼ばれるサービスを利用して制作しています。
メタバースプラットフォームは自分のアバターでVR空間に入り、ユーザーが投稿したワールドに集まって他の人と一緒に遊んだり、コミュニケーションを楽しんだりすることのできるサービスです。
基本的にはヘッドマウントディスプレイやPCを使って遊ぶ事が多いですが、”cluster”ではそれらに加えてスマホ・タブレットでも遊ぶことができます。もちろんクロスプレイ可能です。
ぐだぐだぶとんでは現在”cluster”でVRTRPGが遊べるワールドを公開しています。
また、VRChatやNeosVRと言った別プラットフォームでもVRTRPGを遊んでいる方がいるので興味があればそちらも調べてみると良いでしょう。
STEP1:作りたい物を見定める
[主観のVRTRPG]
主人公の視点でマップを探索する形式のVRTRPGです。
VR寄りのVRTRPG、LARP寄りのVRTRPGと呼ぶ事もあります。
普通のゲーム制作並みに制作コストが高い代わりに、通常のTRPGとは違った面白い体験になります。
ぐだぐだぶとんの制作物としては、VRTRPG『地下壕の讃美歌』がこれに該当します。
[主観のVRTRPG]
オフラインセッションのように机を囲んで遊ぶ形式のVRTRPGです。
俯瞰かと言われるとそうでも無かったりするので、TRPG寄りのVRTRPGと呼ぶこともあります。
ぐだぐだぶとんの制作物としては、VRTRPG『静寂に捧ぐ祝詞』がこれに該当します。
[完全に二分できるわけではない]
以上のVR寄り(主観)とTRPG寄り(俯瞰)の2つを明確に分ける事はできません。
この2つを融合させた物も作れます。
ぐだぐだぶとんの制作物としては、VRTRPG『全て忘れてしまえたなら』がこれに該当します。
1枚目の画像は探偵事務所です。
ソファに座った状態で進行し、イメージ背景などはスクリーンに投影します。
部屋はシナリオ内の世界ではなく、あくまで背景という立ち位置のTRPG寄りの部屋です。
対して、2枚目の画像はプレイヤー視点で探索できるVR寄りの部屋です。
実際に自分の足で歩いて、物語の謎を解く手がかりを探します。
『全て忘れてしまえたなら』ではこのように、探索が重要な場面では主観視点に、それ以外の部分ではTRPG寄りの構成にすることで、制作コストと新しいVRTRPG体験を両立しています。
STEP2:作る物や必要なツールを整理する
シナリオ
VRでGMをする時にシナリオを見やすくする為にシナリオPDFの作り方を少し変える必要があります。
VRでGMをする際ですが、シナリオPDFをclusterにアップロードしてから、clusterアプリ内のメニュー「ファイル」を開いてシナリオPDFを選択すると以下のような画面になります。
この時、表示されるPDFは横16:縦9が最適です。
もちろんA4の横向きPDFでも大丈夫ですが、シナリオPDFはVR用に横長の物も作っておくと良いでしょう。
ダイスパネル
clusterでワールド制作を始めたての方がいきなり自力で作るのは、少し難しいアイテムです。
ぐだぐだぶとんではclusterで使えるVRTRPG用のダイスパネルを無料で公開しています。
機能としてはHP/MPの管理の他に、4, 6, 8, 10, 12, 100面ダイスを同時に10個まで振ることができます。
裏面のスクリーンにキャラシートを投影して複製すれば、持ち運び可能なキャラシートが複数作成できます。
このパネルを利用することで、ほどんどのTRPGを遊ぶことが出来ると思います。
もし、こんな機能が欲しいんだけど・・・という相談があれば気軽にぐだぐだぶとんまでご連絡ください!
ワールド
clusterでワールドを作るにはUnityとClusterCreatorKitを学ぶ必要があります。
導入の方法はこちらのサイトに分かりやすくまとめられています。
こちらでワールドのアップロードから簡単なワールド作成まで習得できます。
ここまで理解したら、シナリオの舞台を一部屋だけ再現しましょう。
記事の中でも紹介されていますが、ワールドに使う3DモデルはUnityAssetStoreというサイトに公開されているものを使うと用意する手間がかかりません。
Boothでもワールドに使える3Dモデルが配布・販売されています。
「cluster用アイテム」で検索すると、ギミックが既に組んであるアイテムを見つけることができます。
Blenderを使えば無料で3Dモデリングもできますが、一気に新しいことを始めると手が回らなくなるのでひとまずは置いておきましょう。
ちなみに、プレイ終了時に集合写真を撮る為の写真映えスポットを用意しておくとclusterワールドらしい仕上がりになります。
制作コストやGMの操作難易度が上がるので、部屋の数は基本1つで大丈夫です。
もっと作りたい!となったら、ロールプレイに使えそうな掴めるアイテムを配置したり、クライマックスシーンを再現した部屋を追加したり、できる範囲で増やしていくとよいと思います。
情報を表示するギミック
ここからは、前述したVRTRPGの種類の中でも”俯瞰のVRTRPG”制作に絞った説明となります。
シナリオの進行状況に合わせて、取得した情報を公開する為のパネルがあると良いでしょう。
VRTRPG『静寂に捧ぐ祝詞』で例を紹介します。
GM用の机にあるパネルを押すと水色になり、該当する情報が公開されます。
情報が一括でまとまっている場所があると、皆で考察するのに便利です。
横の灰色のボタンを押すと該当する情報が壁に貼られるのではなくスクリーンに表示されます。
新しく情報が出てきたときなどはこちらを使うといいでしょう。
ここで紹介したギミックはそこまで複雑ではないので、似たシステムのものを自分で作ってみると勉強になると思います。
ClusterCreatorKitにおいて学習すべきは「Interact Item Trigger」と「Set Game Object Active Gimmick」です。
ただ、ClusterCreatorKitの中では簡単とはいえ初心者の方だとTargetとかValueの選択とかで詰まるかもしれません。
詰まってどうしようもなくなったらCreator Communityやぐだぐだ書房で聞くと誰かが教えてくれると思います!
BGM等を変更するギミック
雰囲気の共有の為に、BGM・パーティクル・ライト・ポストプロセッシング(視界エフェクト)を変更できるパネルがあると良いアクセントになるでしょう。
これもClusterCreatorKitの「Interact Item Trigger」と「Set Game Object Active Gimmick」が使えれば作る事ができます。
『静寂に捧ぐ祝詞』プレイワールドに置かれている物であれば、ご相談いただければお渡しすることもできます!
アバター
NPCのアバターも用意したい!と思ったらVroid Studioを使う事をおすすめします。
Vroid Studioは人間のモデル制作に特化したツールで、かなり簡単にアバターを作る事ができます。
「VRTRPGの始め方」でも紹介していますので、ご覧ください。
STEP3:困ったら気軽にぐだぐだぶとんやぐだぐだ書房に相談する
ぐだぐだぶとん制作のアセットが必要だったり、VRTRPG制作で詰まった・表現に悩んでいる場合は気軽にぐだぐだぶとん、またはぐだぐだぶとん運営のVRTRPG制作コミュニティ「ぐだぐだ書房」まで相談してみてください!
私たちとしては、clusterでVRTRPGを作る人が増えるのは大歓迎ですし、ある程度の助力はさせて頂きます。
イベント・配信について
clusterには「イベント」という機能があり、ユーザーが最大4時間の枠でイベントを行う事ができます。
イベントを立てるとclusterの公式HPに情報が掲載されるので、多くの人に知って貰う良い機会になります。
ワールドと違って、イベントはスタッフのみがボイスチャットを使えるようになるのでTRPGを遊んでいる様子を見せる事もできます。
Youtube配信をする際はclusterのプロカメラマンモードを使うのが一般的です。
ぐだぐだぶとんメンバーはプロカメラマンモードを使える人が多いので、もしカメラマンが不足していたり、よく分からない事があればお気軽にお声がけください。
VRTRPGワールドポータルについて
ぐだぐだぶとんでは、「ぐだぐだ書房」というワールドに、過去制作したVRTRPGワールドへのワープポータルを設置しています。
VRTRPGワールドを作った際はこちらで紹介させて頂ければと思います。
STEP4:コストカットの方法を知る
①部屋の数を絞る・ギミックを単純にする・プレイ時間を短くする
『ハローバーチャル』は全く性質の異なる部屋が15部屋近くあったので、制作の労力はかなり大きかったです。
また、『全て忘れてしまえたなら』では屋外のマップも用意しましたが、労力に対して仕上がりは微妙ですね。
なので、部屋の数が少なく屋内を探索するようなシナリオが制作を始めるには向いています。
目が覚めたら謎の部屋、系のシナリオとかですね。
こちらは『後悔の迷宮』という謎解きRPGをVR上で遊べるように作成した動画ですが、これは結構楽に作れた良い例です。(主観での探索といった感じではありませんが)
倍速で見れば30分で見終わりますのでよろしければ是非ご覧ください。
他にもギミックやプレイ時間を短くする事で作業量を調整しても良いでしょう。
プレイ時間は2時間以下がおすすめです。
VR機器を被って遊んでいると疲れてしまうのもそうですし、変わり映えしない画面になりがちなので。
②重要なシーンだけ主観のVRTRPGにする
主観のVRTRPGはコストが高くかかる分演出効果も高いので、重要なシーンだけ主観のVRTRPGにする方法もあります。
主観のシーンは重要な情報が出るんだ、とプレイヤーがメタ的に考えるのを問題視する人もいますが、むしろメリハリがついて良いかもしれません。
③NPCは女の子にして、人数は少なく
NPCのアバターを作る際に使うVroidStudioではプリセットで様々な髪型が用意されていますが、女の子のアバターを作るのに使うプリセットが多く、男性アバターを作ろうとすると時間がかかります。
なので、特に拘りが無ければNPCは女の子にして、登場するNPCの数は少なくしておいた方が良いです。
また、装飾を凝ると更に労力が増えるので、装飾は服の模様程度にしておくとアバター制作も比較的作業量を減らすことができます。
clusterでVRTRPGを作る情報共有コミュニティ「ぐだぐだ書房」
このページは、clusterでVRTRPG・VRマダミスを作りたいと思っている方へ、まず初めに読んでもらうために作ったページです。
もしこれを読んでもっと興味がある!実際に作り始めたい!という方はdiscordコミュニティ「ぐだぐだ書房」への参加をお勧めします!
全く話したことが無くてもやる気さえあれば大丈夫です。
ぜひアイデア出しから制作まで、一緒にモノづくりしてみませんか?
終わりに -ぐだぐだぶとんの理念-
私たちぐだぐだぶとんがVRTRPGを作る上で重視している事はこんな感じです。
・初心者が楽しめるVRTRPGを作る
・作品は公開し、閉じたコミュニティにしない(文化作り)
・安定した創作活動ができる(赤字にならない・グレーにならない)
・(一応)スマホ・PCでも遊べるように作る
こんな感じでやっていますが、clusterでのVRTRPG先駆者(?)としてやる必要がある事をやってるだけだったりするので、ヤバい事(規約関連)さえしなければ方針が違ってても全然大丈夫です。
身内で遊ぶ用の制作でも完全玄人向けでも、自由に作っちゃってください。